NYレポート Part2
9月26日
今日もまずMOMAへ。12時からの「魔女の宅急便」のチケットを手に入れると、昨日見損ねた常設展を見るために上へあがりました。しかし残念ながら現在MOMAは大規模な改装中なので、ギャラリーのかなりの部分が閉鎖されていました。それでもコレクションはかなりのものでしたが、かえすがえすも残念でした。
12時近くなったので地下の劇場へ。今日は英語吹き替え版だし日曜の昼間ということもあってか、小さな子供の姿も目立ちます。しかし、同時にすでにビデオ発売されている作品のせいか、今日は空席も若干見られました。残念ながら今日は宮崎監督の挨拶はなく、上映が始まりました。
今日のプリントはこれまでに様々な映画祭での上映で使われてきたものらしく、少々傷が見られました。また、以前ビデオで見たときには気にならなかった音楽やせりふの変更が今回はかなり気になりました。もしかしたら昨日ラピュタとトトロの字幕版を見たせいかもしれません。多少の変更はやむを得なかったのかも知れませんが、もう少しオリジナルに近い形にしてくれても良かったのではないかと思います。
観客の反応は今日も上々で、最後にはまた大きな拍手。終わって劇場を出る観客からは"That was wonderful!"や"Quite lovely"という声が聞こえました。どう見てもアニメファンではなさそうなお年寄りからも賛美の声が聞こえてきました。ある70代と思しきカップルは「これも良かったけど、昨日のトトロのほうが良かったわ。私は吹き替え版が好きじゃないの」とまるで筋金入りのアニメファンが言うようなことをいっていました。(^^)
2時にMOMAの前でMiyazaki Mailing Listの仲間であるTom Wilkes, Justin Sevakis, Griffin Waldau(と彼の母親と妹)と待ちあわせて日本料理屋で遅いランチ。その後MOMA近くの紀伊国屋書店をちょっと覗いてみることにしました。レジの前には日本から輸入された「ジブリがいっぱい」のビデオや英語版の魔女の宅急便のビデオ、それにHelenの宮崎監督に関する本などが積まれていました。2階へ上がる階段にはトトロとキキのセルが飾ってありました。これはジブリがコレクション用として直々に限定制作した複製版(つまり映画で使われたものではない)で、シリアルナンバーと証明書付きで550ドルです。米国ではディズニーのセルがこうした形で愛好家に販売されていますが、さてこれを高いと見るか安いと見るか…(写真を撮ったのですが、例によってデータを消失してしまいました。T_T )
時間も充分つぶれたので地下鉄でリンカーンセンターへ。まずは会場のAvery Fisher Hallのチケットオフィスで電話予約しておいたチケットをピックアップ。ここで何かの手違いでチケットがないとかいわれたらどうしよう、とどきどきしましたが、無事チケットは手に入りました。ふと横を見るとミラマックスのスタッフの机があり、その後ろにはPrincess Mononokeのポスターが貼ってありました。うーん、悪くもないけど取りたてて魅力的でもないデザイン、という気がします。ポスターの一番上に書いてあるコピーは"The fate of the world rests on the courage of one warrior (世界の運命は一人の戦士の勇気にかかっている)"で、映画の内容や魅力を正確に伝えているとは言いかねますが、まあこういういかにもいかにものお話だと思わせたほうが米国では客が来やすいのかもしれません。ポスターを見る限りではこの映画がアニメーションだということはわからないと思います。
実は会場前にPrincess
Mononokeのバナーかなにかがあるのかと思っていたのですが、今日ここでPrincess
Mononokeが上映されることをうかがわせるものはこのポスター1枚きりでした。他の映画祭に出品されている作品を見ていないので、もしかしたら映画会社が会場で作品の宣伝をすることに制限があるのかもしれませんが、もう少し何とかならなかったのかなあ。
会場には道路から続く柵でしきられたテント付きの通路が設けてあり、その脇にはビデオカメラやカメラを抱えた人達が何人かいました。上映までにはまだ時間があり、彼らも暇そうだったので、アニメ関係のニュースサイトを運営するJustinと一緒に取材(?)を敢行することにしました。最初に話したのは日本テレビのクルーで、日本でのニュースに使用するための取材だということでした。(日テレのクルーは宮崎監督の北米ツアーにずっと同行していたらしいので、そのうち特番があるのかもしれません。) 次に話したのはニュース映像を様々な報道機関に提供している会社のスタッフでしたが、今夜はロックフェラーセンターで大きなイベント(TV番組サタデーナイトライブの25周年記念パーティー)があるのでエンタテイメント関係の番組はそっちのほうを取り上げるだろう、ということでした。その他NYのローカル情報番組、インタネット放送のForeignTV.com、雑誌メディアらしいカメラマンなどが来ていましたが、最終的には報道陣の数はもう少し増えたようです。

時間が経つにつれ、報道陣の後ろにはファンの人垣ができ始め、その場でサンのイラスト入りの手製のポスターを作っている女の子達もいました。地面の上で一生懸命絵を描く彼女たちはとても楽しそうで、どこの国でもファンは同じことをするのだなあ、とちょっとうれしくなりました。

他のファンや昨日も会ったBlue Sky Studioの人達と話しているうちに英語版脚本を担当したNeil Gaimanがリムジンで到着したようですが、残念ながら見逃してしまいました。しかし残念がるまもなく次の黒塗りのリムジンが到着し、中から恰幅の良い紳士がでてきました。しらならければマフィアかと思ってしまうこの紳士はミラマックスの社長のハービー・ワインスタインです。彼は車を降りてすぐの所で立ち止まって、関係者らしき人と話していました。(写真はニール・ガイマンと密談(?)するワインスタイン。ガイマンは革のジャケットを着てロックスターのようでした。)

次に登場したのは黒塗りの大きなバンで、何人かの人に続いて宮崎監督が降りていらっしゃいました。入り口に向かって歩き始めたもののすぐに立ち止まって、インタビューに答えていらっしゃいました。大きな録音用マイクが何本も監督の頭上に差し出され、監督は歩き出しては別のインタビューに答えるためにまた立ち止まる、ということを繰り返していました。報道陣も、さらにそれを取り囲むファンも一生懸命写真を撮っていました。
(その他の宮崎監督の写真。重いです。)

インタビューが一段落して、ワインスタインが宮崎監督にガイマンを紹介しました。二人はちょっと話した後握手をし、その後報道陣のために宮崎監督、ワインスタイン、ガイマンの3人が並んで写真が取られました。
その後宮崎監督と周りの方達は中に入り、後を付いていった私はワインスタインが「本当に驚異的な映画だ。素晴らしい映画だ」と映画祭の主催者らしき人に話しているのを聞きました。
上映時間の6時半が近くなってきたので、中に入りました。米国に住んでいたころよく「リンカーンセンターライブ」というクラシック音楽の中継番組を見ていた私にとって、このAvery Fisher Hallは一種の憧れの地です。いつかここにコンサートを聞きに来たいと思っていましたが、まさかここで「もののけ姫」を見ることになろうとは夢にも思いませんでした。
しかし残念なことにAvery
Fisher Hallはやはり音楽のためのホールであり、映画の上映にはあまり向きません。電話でチケットを買った際(発売日の翌日でした)既に一階席は売り切れだといわれたので、2階のバルコニーにしたのですが、舞台上につられたスクリーンからはかなり遠いです。たくさんある出入り口にある「出口」のサインの明かりのせいで会場が完全に暗くならなかったのも少し気になりました。
会場にはNY映画祭のプログラムが置いてあり、それをもらって席につきました。プログラムには映画祭で上映される映画についてのデータや解説があり、Princess
Mononokeに関するセクションもも1ページありました。しかし残念なことに宮崎監督の名前が「Hayoa]とミススペルされていました。:(
6時45分を過ぎると、観客が上映を催促する拍手を始めました。場内はほぼ満席でしたが、一階席に所々空席が見られました。Justinjはチケット会社の電話をして「売り切れです」と言われた後で直接劇場に行ったらチケットが手に入ったと言っていたので、同じ事を言われてあきらめた人もいたのではないでしょうか。やっと映画祭の主催者が壇上に現われ、今回この映画を上映することができて幸運だった、などと述べた後で、この映画に関わった人達を一人一人壇上に呼んで紹介しました。 まずは吹き替え版の録音監督のJack Fletcher, 次に英語版脚本担当のNeil Gaiman。ミラマックス社長のHarvey Weinsteinともののけ姫を担当した上級副社長のScott Martin、サン役のClaire Danes,鈴木プロデューサー。そして最後に宮崎監督が紹介されて壇上に現れると、会場は大きな歓声と拍手に包まれました。 宮崎監督は「米国に来る前はこのような映画が文化的背景の異なる人達にも理解してもらえるか不安だったが、トロント、LA、そしてニューヨークで本当にこの映画のことを理解してくれる人達に出会えて、本当によい旅になりました」というような挨拶をしました。 (↑は映りが悪いですが、壇上で挨拶する宮崎監督とそれに拍手するClaire Danesらの写真です) 映画が終わると大きな拍手がわき起こりました。米国ではエンドタイトルを見ないで席を立ってしまう人がほとんどで、特にもののけ姫はクレジットに絵がついていないため、みなどんどん劇場から出ていってしまいます。 |
![]() クレジットの途中でバルコニーの一角にスポットライトが当たり、そこに宮崎監督が座っていらっしゃいました。会場からはまた一段と大きな拍手がわきおこりました。 映画が終わり会場が明るくなると、残っていた人達は立ち上がり、再び宮崎監督に拍手しました。監督は立ち上がって手を振り、会場から出て行かれました。 この後私はTomと昨日会ったPaulとPamelaと4人でディナーに行き、Princess Mononokeについてあれこれ語り合いました。PaulとPamelaはもののけ姫を見るのは初めてでしたが、二人とも大変気に入ったといっていました。 Paulは「でも吹き替え版じゃなかったほうがきっと良かったな」、Pamelaは「でも何でPrincess Mononokeというタイトルなの? アシタカの話なのに。」という感想でした。 と言うわけでNYレポートは終わりです。本当にエキサイティングな2日間でした。 おまけ: 翌日空港でNY Timesを買うと、Princess Mononokeと前日の上映に関する大変好意的な記事が出ていました。サンの写真付きでした。
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